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活動報告

119番山形大生死亡訴訟の和解

2015年4月2日

 

今市議会定例会に追加上程の補正予算が組まれました。

その内容は『119番山形大生死亡訴訟の和解に関する議案2件』でした。結果は、24日の最終日、全会一致で可決、同意しました。

 

本会議に追加上程されたのち、予算委員会へ付託され、主な質疑は所管である総務委員会の場において行われました。

以下より質疑の内容です。

 

「平成27年3月定例会、3月24日(火)本会議における総務委員長報告より一部抜粋」

最後に、320日、追加付託されました、議題43号和解について、その主な質疑を申し上げます。

委員から、和解が見えてきたことは良かったと思うが、ここに至るまでの過程で、市側から解決に向けた積極的な姿勢が見られず、また、裁判が長引いたことで市民の不安が増大したと思うが、どう考えているのか、との質疑があり、

当局から、このたびの訴えの提起に対して、市としては、裁判において市の考えるところを主張して、裁判所の公平な判断を仰ぐ考えであった。その中で、裁判所から事件の円満な解決を図るためとして和解勧告があったことを受け、市としては、いたずらに裁判を長引かせることなく、早期の解決を図るために勧告を尊重することとして原告と協議した結果、合意に至ったものである。市民の不安に関しては、本件が報道されてから、市民の皆様をはじめ、社会的にも大きな反響があり、市民生活の安全・安心に関わる事案として、少なからず不安を感じられる市民の方がいらっしゃったことは認識している。今回は、そういった市民の不安を早急に払拭すべきとのことから、和解に応じたものである、との答弁がありました。

 また、委員から、今後、通信指令業務について、どのように業務改善に努めていくのか、との質疑があり、

当局から、平成262月に高機能通信指令センターができたが、ハード面だけでなくソフト面の充実を図るために、研修カリキュラムを整備した。それを進める中で、今回の事案について、新任の通信員に対する事前研修を行う場や、主に通信員・救急隊員が参加して、年に5回から6回開催されている症例検討会のうちの1回を本件事例研修会として実施しようと計画している、との答弁がありました。

次に、委員から、救急車の不適正利用などの問題もあるが、119番を受信したら、全て出動すればよいのではないか。また、救急救命体制をどのように変えていくのか的確な説明がなされていないのではないか、との質疑があり、

当局から、119番通報で出動要請があった場合は、出動する。また、救急救命体制の充実については、これまでも、救急隊の8隊への増隊や、救急救命課の新設、24時間健康・医療相談サービスの開始などに取り組んできた、今後については、説明した研修カリキュラムを取り入れながら、平成26年度には指導的立場の救急救命士を養成したことで、教育、指導、研修の更なる充実を図る。また、平成29年度には西崎出張所を署に格上げし、市内全体の消防体制の底上げを図っていきたい、との答弁がありました。

 

 

H27331 河北新報より

救急救命 溝埋まらず

山形大学生死亡訴訟和解

遺族「改善する気あるのか」

和解した直後にもかかわらず、原告側は山形市が開いた会見に我慢できなかった。30日、山形地裁で和解が成立した119番山形大生死亡訴訟。「本件を重い教訓として受け止める」と表明しながら、亡くなった大久保祐映さん=当時(19)=の事例から、市幹部は学ぶべき具体例を示せず、答えはかたくなだった。「情けない会見だった」と追加コメントを出した原告側弁護団長。藤木孝男弁護士は「本当に反省し、業務改善する気があるのか。残念だ。」とため息をついた。

 

藤木弁護士が特に問題視したのは、市川市長の記者会見に同席した海和孝幸消防長の受け答えだった。

報道陣から「今後、大久保さんと同じ119番通報があったら出動するか」との質問に対し、海和消防長は「大久保さんの救急要請は途中で撤回された。今後も救急要請があれば、出動させる」との答えを2度繰り返した。

市消防本部は昨年2月に通信指令員の研修を見直し、通報のやりとりで救急車の出動をいったん見送った場合、「通報者に症状が悪化したら、すぐにまた119番するように勧める」との指示を徹底しているにもかかわらず、理由は示さなかった。

大久保さんの事例を重い教訓にするべきだとの裁判所の勧告を真摯に受け止めていない。今後、大久保さんと同じ事案が発生することを危惧する」。山形市側の記者会見をテレビニュースで見た藤木弁護士はコメントを追加した。

原告側は和解に応じるに当たり、市側の救命体制の改善に望みを託した。

「和解が終わりではなく、始まりだと思っている」。市側の会見の前に、山形市役所で会見した原告側弁護団は、思いを込めた母親の談話を読み上げた。

市消防本部の過失を主張し、市川市長に謝罪を求めていた母親。「まだ納得のいかない部分もある」と率直な胸中も明らかにしていた。

墓前に和解に向けた話し合いを報告した際、「争いの嫌いな祐映が『山形の人が安全に暮らせるようになればもういいよ』と言ってくれているように思った」ともつづった。

和解協議には、大久保さんの写真を持った母親と妹も出席した。市川市長は冒頭、哀悼の意は表したものの謝罪はなかったという。

「今後も大久保さんと同じような119番があったら出動しない」。そう取れる市消防長の言葉に、藤木団長は絶句した。29カ月の訴訟は、最後まで不信感が残ったまま終結した。

 

119番山形大生死亡訴訟の経過

2011年 1031日 大久保祐映さんが119番通報

119日 自宅アパートで遺体が発見される。司法解剖の結果、死亡時刻は「111日ごろ」

2012年 615日 母親が山形市を相手に損害賠償請求訴訟提訴

     109日 山形地裁で第1回口頭弁論。市側が請求棄却求める

2013年 128日 大久保さんの友人らが原因究明と改善策の提示を求め、52648人分の署名簿を市に提出

     129日 第2回口頭弁論で裁判所が争点について①119番に対応した通信員の過失の有無②救急車不出動と死亡との因果関係―の2点挙げる

     87日 原告が通信員、市長、母親らの証人尋問申請

2014年 1216日 山形地裁が和解勧告

2015年 2月 初の和解協議で地裁が和解骨子案提示、山形市が和解案作成、原告側に送達

     317日 和解基本合意

     320日 市議会定例会に『119番山形大生死亡訴訟の和解に関する議案2件』追加上程。

     324日 市議会本会議で全会一致で可決、同意

     330日 和解成立

 

 

 

 

3月20日の市議会本会議に提案された議題の詳細は以下のとおりです。

 

議題43号 和解について

 平成24615日付けで山形市が訴えを提訴された119番通報に関する損害賠償請求事件について、次のとおり和解する。

 

 平成27320日提出

 山形市長 市川 昭男

 

 

1 事件名山形地方裁判所平成24年(ワ)だ229号損害賠償請求事件

2 和解の相手方埼玉県在住の女性(元山形大学学生の母親)

3 和解の要旨

⑴山形市は、相手方に対し、本件に関わる解決金として、金15,000,000円を支払う。

⑵山形市は、相手方に対し、前号の金員を本和解成立後1か月以内に相手方の指定する口座に振り込む方法により支払う。

⑶山形市長及び消防関係者は、亡くなられた御子息の御冥福を心からお祈りするとともに、御遺族の心情を心に深く留めながら、本件を救急搬送の在り方への教訓として重く受け止め、市民の生命を守る責務の重大性を改めて確認し、今後も不断の業務改善に対する意識を高め、すべての市民が不安を抱くことのない救急救命体制の整備及び職員の技術向上に努めるものとする。

⑷山形市は、これまでも、救急隊の増隊、救急救命課の新設、市民を対象とした24時間健康・医療相談サービスの開始などの救急救命体制の整備や、通信員に対する救急医療の基礎教育の充実と各種症例検討会への参加など、通信指令業務の技術向上に努めているが、さらに、前号の趣旨にのっとり、本件について、通信員をはじめ職員に対する救急救命に関する研修のカリキュラムに取り入れ、適宜、事例として研修を行うことにより、これを教訓として、救急救命業務に従事する職員に伝えていくものとする。

⑸山形市長は、記者会見の方法により、前期(3)、(4)の要旨を表明するものとする。

⑹相手方は、山形市に対するその余の請求を放棄する。

⑺山形市と相手方の間には、本件に関し本和解条項に定める事項のほかには、何らの債権債務が存在しないことを確認する。

⑻訴訟費用は、各自の負担とする。

4 和解の理由

山形地方裁判所からの和解の勧告及び提案に基づき、本件の円満な解決を図るため、和解しようとするものである。

理由

 119番通報に関する損害賠償請求事件について和解するため、地方自治法第96条第1項第12号の規定により、議決を求めようとするのもである。

 

これまでも市に対し、早期の和解を促す発言をしてまいりました。

長引けば間違いなく市民の不安が増大する。これ以上、行政の信頼を失墜させてはならない、と思ったからです。

この度の和解に関し、謝罪はしないとする市長の姿勢には只々驚くばかりでした。

長い裁判の結果は、和解成立となりましたが、山形市は、この度の原告が何故裁判を起こしたのか、それを重く受け止め、日々の業務改善に努めるべきです。

文字通り体を張って5万人以上の署名を集め、問題提起したものの、求めたものは引き出せなかった。

弁護団長の「残念だ」という言葉に私もやるせない気持ちです。

通報すれば救急車がちゃんと来てくれるのか・・・、いざとなった時に来てほしいけど強く話できないかもしれない・・・、

そのような声を聞いている者として、今後の山形市消防の体制やさらには自治体消防の在り方についてこれからも深く議論していかなければならないと思っております。

私はこの度の事件に関連しても、再三、『再発防止』を訴えてきましたが、なぜか再発防止とは認めたくない頑なな市の姿勢に憤りすら覚えます。

通報受信時は理由なく全て出動すべし、口頭指導の徹底とマニュアル化、通信指令職員と回線の確保充実、AEDの各施設ごとの整備点検マニュアル化及び訓練などなど多くを求めてきました。しかし、なんとも暖簾に腕押し状態感が否めません。救急に関しては行政と私たち市民と、そもそもの認識のずれのようなものを感じます。このままでは大変ですから、何とか民意に沿った自治体消防体制の構築に意見を申してまいりたいと思います。

 

改めて亡くなられました大久保さんの御冥福をお祈りいたします。